いま市場でかなり強く意識されているのが、中東情勢の悪化が原油高を通じて世界の物価と相場全体を揺らしていることです。ニュースを見ると「原油が上がった」「中東が緊迫している」といった見出しは並びますが、本当に大事なのはその先です。原油高は単にガソリン代が上がるという話ではありません。インフレ、中央銀行の政策、株価、為替、ゴールド、企業業績、個人消費まで、かなり広い範囲に連鎖していきます。しかも今回は、Reutersによると戦争開始後にブレント原油が一時119ドル超まで急騰し、アナリスト調査では平均134.62ドル、さらにイランの主要輸出拠点が攻撃されれば153.85ドル、極端なケースでは200ドルの可能性まで意識されています。ホルムズ海峡は世界の石油・ガス輸送の約2割が通る要衝でもあり、ここへの懸念が相場の神経をかなり逆なでしています。
今回の原油高が怖いのは、ただ需給がタイトになるからではありません。原油高が“物価上昇の再加速”として受け止められ、利下げ期待を後退させていることが大きいです。Reutersによると、フィラデルフィア連銀のアンナ・ポールソン総裁は、戦争による燃料や肥料の値上がりがインフレ期待を押し上げるリスクを懸念しており、エネルギー高が一時的なショックで終わらず、より長く経済に残る可能性に警戒感を示しました。さらに米消費者マインドも悪化しており、ミシガン大の3月指数は53.3と3カ月ぶりの低水準、1年先のインフレ期待は3.8%まで上昇しました。つまり市場は、原油高を単なるニュースではなく、家計や企業心理を冷やし、中央銀行の判断まで縛る材料として見始めています。
ここでまず押さえたいのは、原油高はなぜここまで広く効くのかという点です。原油はエネルギーそのものなので、ガソリン、電気、物流、航空、化学、食品、農業まで幅広いコストに影響します。だから原油高が進むと、最初にエネルギー関連の価格が上がるだけでなく、そのコスト増が時間差でさまざまな商品やサービスに転嫁されていきます。しかもReutersは、今回のケースでは世界の供給が1日あたり約1,100万バレル減少した状態だと伝えています。こうなると、単なる一時的な値動きではなく、「世界全体のコスト構造そのものが重くなるのではないか」という見方が強くなります。だから株も為替も金も、全部が同じニュースに反応するわけです。
では、原油高が進むと株式市場には何が起きるのか。答えはかなりわかりやすくて、まず企業収益への圧迫が意識されます。エネルギーを多く使う業種はコスト増が直接利益を削りますし、物流費や原材料費の上昇は製造業にも効いてきます。さらに家計がガソリン代や光熱費にお金を取られると、他の消費が鈍くなりやすいです。Reutersによると、ダウ平均は3月27日に調整局面入りし、2月10日の高値から10%下落しました。背景には、中東情勢を受けた原油高と、それによるインフレ不安、さらに年内利上げ観測まで出てきたことがあります。つまり株式市場は、原油高を「景気にとって悪いコスト増」としてかなり素直に嫌がっています。
一方で為替市場では、原油高がドル高につながりやすい流れが出ています。これは少しややこしいですが、今は原油高そのものよりも、そこから生まれるインフレ懸念と金融政策の変化がポイントです。Reutersによると、3月のドルは安全資産需要を背景に強く買われ、ポンドは対ドルで月間最大の下落ペースとなりました。市場は中東発のエネルギーショックを警戒し、世界景気に不安が出る局面でドルへ逃げています。加えて、原油高でインフレが再燃すればFRBは利下げしにくくなり、場合によっては利上げ観測まで出てくる。そうなると、金利面でもドルが強くなりやすいです。今の相場は、原油高が単に「資源国通貨が強い」というより、安全資産としてのドル買いと高金利観測によるドル買いが重なっているのが特徴です。
ここでFRBの話は避けて通れません。原油高が怖いのは、インフレをもう一度押し上げる可能性があるからです。FRBはインフレを抑えるために長く高金利を維持してきましたが、ここでエネルギー価格の再上昇が起きると、せっかく落ち着きかけた物価がまた粘るかもしれません。Reutersによると、FRB関係者は今回の戦争が成長とインフレの両方にリスクを与えると見ており、特にインフレ期待が傷つくことを警戒しています。家計や企業が「また物価が上がる」と思い始めると、価格設定や賃金交渉にも影響しやすくなり、単なる原油ショックで終わらなくなります。だから原油高は、中央銀行にとってかなり扱いづらい材料です。景気は守りたいのに、物価はまだ安心できない。この板挟みが相場全体を難しくしています。
この状態が続くと、よく言われるのがスタグフレーション懸念です。つまり、景気が弱いのに物価が高い状態です。Reutersによると、EUのドムブロフスキス欧州委員は、イラン戦争をきっかけに欧州がスタグフレーションに陥るリスクに言及し、供給混乱が短期でも成長を0.4ポイント押し下げ、インフレを最大1ポイント押し上げる可能性があると説明しました。これは欧州だけの話ではありません。エネルギーを多く輸入する日本やアジアの国々にとっても、原油高はかなり重いです。Reutersの別報道でも、特にアジアと欧州のような輸入依存地域で打撃が大きく、北アジアでは電力制限、南アジアや東南アジアでは燃料不足の懸念まで出ています。 原油高で何が起きるか を一言でいえば、物価だけが上がって景気が弱る最悪の組み合わせが意識されることです。
この流れの中で、ゴールドの動きもかなり面白くなっています。普通なら中東情勢の悪化や世界景気への不安は、安全資産としての金に追い風です。ですが、今回はそこに原油高から来るインフレ懸念と高金利観測が重なっています。つまり、金を買いたい理由と、金を持ちにくくする理由が同時に出ているわけです。Reutersは、3月27日の金相場が日中では反発したものの、週ベースでは4週連続安に向かっていたと伝えています。これは、安全資産需要がある一方で、ドル高と高金利が金の上値を抑えていることを示しています。いまのゴールドは「有事だから絶対上がる」という単純な相場ではなく、原油高がインフレと政策見通しを通じて金の魅力を削る場面もある、かなり難しい相場です。
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原油高の影響は、実体経済にもかなりストレートに出ます。Reutersによると、今回の戦争では中東のオフショアリグ稼働数が118基から72基へ約39%減少し、保険コストや物流コストも上がっています。つまり価格が上がっているのに、生産や供給をすぐ増やせる状況ではないのです。普通なら高値は増産を呼びますが、今回は安全保障リスクや設備被害がそれを妨げています。だから市場は「高いからそのうち落ち着く」と楽観しにくくなっています。さらに西アフリカの原油も、売り手がさらに値上がりを期待して出荷を渋る動きがあり、アジア向けは運賃上昇もあって買い手がつきにくいと報じられています。供給網のどこか一つが詰まるだけでも全体が不安定になるのに、今回はそれが複数箇所で起きているわけです。
こうなると、企業業績にも濃淡が出ます。エネルギー企業は一見プラスに見えますが、Reutersが報じたように油田サービス企業はむしろ現場混乱や設備停止で打撃を受けています。価格上昇がそのまま利益増につながるわけではなく、操業リスクや物流コスト、保険料の上昇が逆に重くのしかかる業種も多いです。逆に、航空、運輸、化学、素材、外食などコスト転嫁が難しい業種では利益圧迫が意識されやすいです。つまり原油高は、「資源高だから資源株だけ見ればいい」という話ではなく、サプライチェーン全体で勝ち負けを分ける材料になっています。だから市場全体が神経質になるのです。
家計への影響もかなり大きいです。Reutersによると、米国ではガソリン価格が1ドル上がって平均3.98ドルになり、消費者心理は悪化しました。ガソリンや光熱費の上昇は、低所得層ほど負担が重くなります。生活に必要な支出が増えれば、旅行、外食、娯楽、耐久消費財の購入は後回しになりやすいです。つまり原油高は、表面的にはエネルギーの問題でも、実際には個人消費を通じて経済全体を冷やす力を持っています。景気を支えるのは家計消費なので、ここが弱ると企業収益も株価も重くなりやすいです。だから市場は、原油の値段だけでなく、ガソリンや光熱費が家計にどう効いてくるかまで見ています。
さらに、債券市場や新興国市場にも波及しています。Reutersによると、イラン戦争をきっかけに新興国債への資金流入は急に止まり、ハイイールド債からはまとまった資金流出が起きました。エネルギーや食料を輸入に頼る国は、原油高とドル高のダブルパンチを受けやすいです。輸入コストが上がるうえ、ドル建て債務の返済負担まで重くなるからです。逆に一部の産油国には追い風もありますが、世界全体で見れば不安定要因のほうが大きい。つまり原油高は、先進国のインフレや金利だけでなく、新興国の資金繰りや信用不安まで引き起こしやすい材料です。市場がここまで緊張しているのは当然とも言えます。
では、これから何を見ればいいのか。まずひとつは、ホルムズ海峡を巡る動きです。Reutersは、ここが世界の石油・ガス輸送の約2割を担う重要ルートだと伝えています。ここへの懸念が強い限り、原油には高止まり圧力が残りやすいです。次に、原油高がどこまで物価指標に反映されるか。CPIやPCEでエネルギー高の波及が見えれば、FRBなど主要中銀は一段と動きづらくなります。三つ目は、消費者心理や雇用など景気側の数字です。もし景気悪化がはっきりしてくれば、市場は「インフレより景気」を重視し始める可能性もあります。その場合、相場の見え方はまた変わってきます。 今の相場は、原油高そのものよりも、その原油高を市場がどう解釈するかで方向が決まる局面です。
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ここまでを整理すると、いま起きているのは単なる「中東で緊張が高まったから油が上がった」という話ではありません。原油高が物価を押し上げ、中央銀行の政策を縛り、ドルを強くし、株を重くし、ゴールドを乱高下させ、企業業績や家計にもじわじわ効いてきている。つまり、ひとつのニュースが市場全体の空気を変えている状態です。Reutersが伝えるように、戦争シナリオ次第ではブレント平均134ドル台、主要施設攻撃なら153ドル台、さらに極端な場合は200ドルも視野に入るとされる以上、これは軽いテーマではありません。市場が神経質になるのも当然です。
相場を見るうえで大事なのは、原油高を「資源ニュース」として切り離さないことです。原油高は、株なら景気と利益、為替ならドルと政策、ゴールドなら安全資産需要と高金利の綱引き、新興国なら資金繰りと信用不安という形で、それぞれ別の顔を見せます。だからこそ、ニュースをただ追うだけでは足りません。どの市場が何をいま一番嫌がっているのかまで見ることで、相場のつながりがかなり見えやすくなります。今のニュース相場は、その意味でかなり教材としても面白いです。ひとつの材料が、ここまで幅広く波及する場面はそう多くありません。
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最後にまとめると、原油高で何が起きるのかの答えはかなりはっきりしています。まず物価上昇が意識され、次にFRBなど中銀の利下げ期待が後退し、ドル高と高金利が進みやすくなります。その結果、株は景気と利益の悪化を警戒して売られやすくなり、ゴールドは安全資産需要と高金利の綱引きで乱高下しやすくなります。さらに企業コストや家計負担、新興国の資金繰りまで悪化しやすい。いまの中東情勢は、まさにその連鎖を市場に意識させている局面です。原油価格の数字だけを見るのではなく、その先の物価、政策、景気、相場までつなげて見ると、いま起きていることの本質がかなり見えやすくなります。


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